「ひきこもり型」は学校に行かせるだけでは解決しません
「なぜその子はひきこもっているのか?」
それは「不安」があるからではないでしょうか。他人のいる場所に出ていったとき、「うまくいかない」「恥をかく」という強い不安でいっぱいだとしたら。
学校・教育支援センター・不登校特例校・フリースクールは、どれも「通所型施設」。「他人のいる場所」です。つまり、ひきこもっている子どもにとっては、「強い不安をかきたてる場所」です。
大事なことは「自他への信用」です。
「受け入れられる」「恥をかかない」という見通しを育てることが大切・・・そう考えたとき、
「家庭が最適なスタートの場所」
だと気づくでしょう。
「ひきこもり型不登校」とは?
令和5年度の小・中・高の不登校児童生徒※1は約41万5千人でした。
現在、不登校は長期化の傾向にあります。年間90日以上※2の欠席は約20万1千人。不登校全体のおよそ半数です。
また、「教育支援センター」を利用した児童生徒は約3万人、フリースクールなど「民間団体・民間施設」を利用したのは約1万6千人でした。これらを合わせても全体の1割ほどです。およそ9割はどちらも利用していません。約21万人が専門的サポートを受けていなかったり、病院・診療所等に通院したりしています※3。これもまた不登校のおよそ半数です。
私たちは、こうした「長期の、通所型施設を利用せずに在宅中心で過ごす不登校」と「短期で学校復帰する不登校」や「通所施設を利用している不登校」とは、共通する部分はあるものの、基本的に分けて考える必要があると考えています。
そこで「長期在宅中心不登校」を、とりあえず「ひきこもり型不登校」と呼ぶことにしました。
※1 文科省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」より。
※2 年間90日の欠席は、事実上5か月を超える欠席になります。
※3 専門的なサポートを受けていなかった児童生徒数15 万5929人+病院・診療所を利用した児童生徒数5万4022人=20万9951人。
問題の核心は「極端な回避をする”理由”」
ひとくちに「ひきこもり型不登校」と言っても、買い物に出かけたり親しい人と会ったりできる人は少なくありません。「ひきこもっている」というより「慣れない社会的場面を回避している」のではないでしょうか?
なぜ回避しているのか?「自分を守るため」です。誰でも苦手なことは避けたいものですが、避け方が極端なのです。しかし、「そんなに不安がることはない」「きっとうまくいく」などと声をかけても耳を傾けないでしょう。。
なぜ通じないのか?それは「本人にとっては極端でなく、ほんとうに恐ろしいこと(あるいは嫌悪すること)だから」です。「極端な行動に釣り合う心理」があるはずなのです。
「このままでは将来の進路が」「心身の健康が」などと周囲が心配しても、本人にとって非常に重要なことが理解されていなければ、動きたくても動けない状態からは、なかなか踏み出せないのです。
ホームスクーリングがある!
日本では、就学年齢になる前から欧米型のホームスクーリング(ホームエデュケーション)をしている家庭は、今のところ多くはありません。不登校に悩んできた親子にとって、欧米型のホームスクーリングは遠い存在に感じるかもしれません。
わたしたちは、ホームスクーリングをもっと簡単に理解してはどうかと考えています。「(就学年齢以降の)子どもが家庭を中心に育つこと」くらいの意味です。
狭義では「家庭で学校と同じような教科学習をすること」ですが、「家庭で学校では学べないような教科外の体験的学習等をすること」もホームスクーリングです。でも、日本のひきこもり型不登校の子どもたちは、教科学習や体験的学習どころではないことも多いのです。
ですから、わたしたちは「ホームスクーリングはこうでなくてはならない」という形にこだわりません。見かけが「いかにもホームスクーリング」じゃなくていい。その子にとって「今ほんとうに大事なこと」が大切にされていれば、何より教育的ではないでしょうか。
とはいえ、単独でホームスクーリングをやっていくのは大変です。だから、仲間といっしょにやっていきませんか?というのが、「イーズ・ホームエデュケーション・ネットワーク」です。