「就労支援」の誤解

ひきこもりの若者や高校・大学等に進学していない若者に「就労支援が必要だ」と考える人は多いものです。
今後も「ひきこもりの人に就労支援をする機関」は公民ともに増えていくでしょう。


ここから先は「就労支援の希望があり、いずれ就労支援が必要な人」を想定して述べたいと思います。


基礎学力の下に「学習の基礎」があるように、就労支援の下にも「就労支援を受けるためのレディネスを育てる支援」が必要です。一般平均の人の感覚で「だいぶ条件を緩和してあげたから、これくらいでいいだろう」と考えるものは、たいていハードルが高いのです。


たとえば、若者向けのハローワーク「わかハロ」、地域若者サポートステーション「サポステ」、若年者のためのワンストップセンター「ジョブカフェ」、ハローワークの就労移行支援「ハロートレーニング」、障害のある方等のための「就労移行支援」、公民の「若者自立支援」などがありますが、「それでもまだまだハードルが高い」という人がたくさんいます。


まず、そもそも「そういうところに行ってみよう」と考えるまでに支援が必要ですし、実際に相談などの一時的なアクセスをするまでに支援が必要ですし、実際にスタートしたら継続のための支援が必要です。


基本、実際の就労のハードルを下げつつ体験する「エクスポージャー（曝露：ばくろ）」によって、過剰な恐怖心・警戒心・不安・抵抗感・苦手意識等を軽減するというやり方は、単なる失業者ではないひきこもり傾向の若者の就労支援のコアな部分ですが、その体験のハードルを、もっとずっと現状に近い部分からやっていくことが大切であり、そうでないと「就労支援自体にハードルの高さがあってアクセスできない」「焦りや不安から急にハードルの高いチャレンジを実行しようとする」といったケースが今後も相当数生まれ続けるでしょう。


たとえば、
仮に「正規就労そのものを可能にする心身の状態」が１００段階中１００だとします。
仮に「週２０時間以下のアルバイトを可能にする心身の状態」が「５０」だとします。
仮に「就労に移行するための支援を受けることを可能にする心身の状態」が「２０」だとします。
仮に「現状」を「０～１」だとします。
すると、「２～３」くらいのイメージです。


そもそも「アクセスしない支援には意味がない」わけで、就労支援自体が就労から逆算してストレス度を緩和したものだとすれば、就労支援自体もそこから逆算してさらにストレス度を緩和した心理的抵抗感の低いチャレンジこそ今求められているものだと考えます。