勉強ギライ その2
「学習動機の2要因モデル」(市川伸一,1995)によれば、学習動機は6つに分類されます。
大人はとかく、上の段の3つ【充実指向】【訓練指向】【実用指向】を子どもに望みやすいでしょう。たしかに、上の3つの動機が現時点で表に出てきている子どもは勉強が「よくできやすい」のです。だから、自分の子どもが勉強ギライであっても、それらを無意識に望んでしまうわけです。しかし、私は、それを「ないものねだり」だと思っています。
「子どもの実態を把握し、受け入れること」から始めない限り、子どもの勉強ギライはどんどん強く、頑なになるだけです。
勉強ギライな子どもは、勉強の内容に興味がありません。やれば興味を持つかもしれませんが、そもそもやらないのです。回避です。自分を勉強面で成長させようとも思っていません。成長させたいのはゲームのキャラです。実用指向にも疑問を持ちがちです。「何の役に立つわけ?」と。「気分が悪くなることに役立っているだけだろう」と。ですから、勉強ギライの子どもの親は下段の3つの動機について考えるべきです。
下段の3つについて考えていきましょう。勉強を教わりたい信用できる人がいなかったり、勉強をすると競争に負けたような気持になって凹むので、【関係指向】と【自尊思考】の動機はマイナスになっていることでしょう。とくに着目すべきは「自尊思考のマイナス」です。勉強を極端に回避する子どもは、勉強に触れるだけで自尊心が傷つきます。
ですから、もしその子が勉強したい、親がやっぱりうちの子には勉強がある程度必要だ、ということであれば、【関係指向】については「信用できる教え手や教わる仲間を探すこと」や、【自尊思考】では「慣れるまでは「できない」場面を避け、「わかる・できる」を中心に学び始めること」が有効でしょう。イーズの学習サポートでは、当初は「多少の手ごたえはあっても、正答できること」ばかりやります。とかく勉強は「やっていないこと」から勉強し始めますが、わかっていることから始めます。
しかし、人見知りが強ければ、理解ある家庭教師を探してきても、個別指導塾で経験豊富な講師を見つけてきても、そもそも回避しようとするでしょう。また、どんなに「わかることから始め、劣等コンプレックスのスイッチを押さないようにやること」を工夫したところで、それ自体はプラスの動機にはなりません。マイナス分が多少プラス方向に動くだけです。
そこで最後に残っているのが【報酬指向】です。多くの大人たちが蔑んでいる低俗な動機です。「金のために勉強させるなんて」とか「勉強ってそういうものじゃないでしょう」といった言葉を私も何回か耳にしました。子どもが勉強ギライであることを理解せず、高望みをし、「どこかにうちの子が目を輝かせる素晴らしい教材があり、先生がいるはずだ」と考えたい人は、少なくありませんでしたが、結果をストレートい求めるより、その前段階を重視したほうが良いと考えます。
心理実験などで「報酬系の動機は弱い」などという結果が出ることがありますが、大人たちの多くがなぜ無償ボランティアでなく有給で働いているのでしょう。他の動機も必要ですが、仕事を無償で継続していくのは難しいものです。報酬を動機として差別する必要があるでしょうか。
学校では、勉強を報酬系で動機付けることはしません。家庭だけが、やろうとすればできることです。では、さっそくお金で釣れば子どもは勉強に取り組むか。それは私の長年の経験で言いますと、「お金で買える、それなりの金額の欲しいものがあり、親子で納得できる、高くなく低すぎないレートで納得しあえば」という前提ならば、勉強ギライの子どもが珍しく勉強に取り組み始めます。
ただ、やはり報酬指向だけでは長続きしません。せいぜいSwitch2を買ったら終わりです。報酬指向でスタートをし、少し走り出したら、自尊指向の分野で自尊心が傷つかずに進んでいられることを体感し、かつ関係指向で学びに関係する人とのやりとりに意味を感じられるようになること、などが大切です。このあたりがいちばん難しいところです。「報酬で当面の動機を確保したら、それを使って根強い劣等コンプレックス(学力コンプレックス)の緩和を試みる」わけです。だから、勉強ギライの子どもの場合、イーズの学習サポートでは、学力は後回しです。動機先行です。
不思議なもので、下段の動機が充実してきますと、徐々に上段の動機があらわれてくることを感じます。まず、食わず嫌いできたわけなので、「これはやってみたら面白かった」というような【充実指向】型の動機が出てきます。高尚な動機は、回避しているのにいきなり求めるより、その下の動機を固めることだと思います。
誤解のないように申し上げますが、【充実指向】【訓練指向】【実用指向】の動機が「ない」というわけではありません。回避しているので、現時点で持てていないのです。回避をせずに少し触れてみるあたりからやっていかないと、大人の理想を押し付けるだけで逆効果、ということを言いたいのです。
【充実指向】 学習自体が楽しい | 【訓練指向】 自分を鍛えたい | 【実用指向】 仕事や生活に活かす |
【関係指向】 好きな人がいるから | 【自尊思考】 競争心から | 【報酬思考】 報酬を得るため |
大人はとかく、上の段の3つ【充実指向】【訓練指向】【実用指向】を子どもに望みやすいでしょう。たしかに、上の3つの動機が現時点で表に出てきている子どもは勉強が「よくできやすい」のです。だから、自分の子どもが勉強ギライであっても、それらを無意識に望んでしまうわけです。しかし、私は、それを「ないものねだり」だと思っています。
「子どもの実態を把握し、受け入れること」から始めない限り、子どもの勉強ギライはどんどん強く、頑なになるだけです。
勉強ギライな子どもは、勉強の内容に興味がありません。やれば興味を持つかもしれませんが、そもそもやらないのです。回避です。自分を勉強面で成長させようとも思っていません。成長させたいのはゲームのキャラです。実用指向にも疑問を持ちがちです。「何の役に立つわけ?」と。「気分が悪くなることに役立っているだけだろう」と。ですから、勉強ギライの子どもの親は下段の3つの動機について考えるべきです。
下段の3つについて考えていきましょう。勉強を教わりたい信用できる人がいなかったり、勉強をすると競争に負けたような気持になって凹むので、【関係指向】と【自尊思考】の動機はマイナスになっていることでしょう。とくに着目すべきは「自尊思考のマイナス」です。勉強を極端に回避する子どもは、勉強に触れるだけで自尊心が傷つきます。
ですから、もしその子が勉強したい、親がやっぱりうちの子には勉強がある程度必要だ、ということであれば、【関係指向】については「信用できる教え手や教わる仲間を探すこと」や、【自尊思考】では「慣れるまでは「できない」場面を避け、「わかる・できる」を中心に学び始めること」が有効でしょう。イーズの学習サポートでは、当初は「多少の手ごたえはあっても、正答できること」ばかりやります。とかく勉強は「やっていないこと」から勉強し始めますが、わかっていることから始めます。
しかし、人見知りが強ければ、理解ある家庭教師を探してきても、個別指導塾で経験豊富な講師を見つけてきても、そもそも回避しようとするでしょう。また、どんなに「わかることから始め、劣等コンプレックスのスイッチを押さないようにやること」を工夫したところで、それ自体はプラスの動機にはなりません。マイナス分が多少プラス方向に動くだけです。
そこで最後に残っているのが【報酬指向】です。多くの大人たちが蔑んでいる低俗な動機です。「金のために勉強させるなんて」とか「勉強ってそういうものじゃないでしょう」といった言葉を私も何回か耳にしました。子どもが勉強ギライであることを理解せず、高望みをし、「どこかにうちの子が目を輝かせる素晴らしい教材があり、先生がいるはずだ」と考えたい人は、少なくありませんでしたが、結果をストレートい求めるより、その前段階を重視したほうが良いと考えます。
心理実験などで「報酬系の動機は弱い」などという結果が出ることがありますが、大人たちの多くがなぜ無償ボランティアでなく有給で働いているのでしょう。他の動機も必要ですが、仕事を無償で継続していくのは難しいものです。報酬を動機として差別する必要があるでしょうか。
学校では、勉強を報酬系で動機付けることはしません。家庭だけが、やろうとすればできることです。では、さっそくお金で釣れば子どもは勉強に取り組むか。それは私の長年の経験で言いますと、「お金で買える、それなりの金額の欲しいものがあり、親子で納得できる、高くなく低すぎないレートで納得しあえば」という前提ならば、勉強ギライの子どもが珍しく勉強に取り組み始めます。
ただ、やはり報酬指向だけでは長続きしません。せいぜいSwitch2を買ったら終わりです。報酬指向でスタートをし、少し走り出したら、自尊指向の分野で自尊心が傷つかずに進んでいられることを体感し、かつ関係指向で学びに関係する人とのやりとりに意味を感じられるようになること、などが大切です。このあたりがいちばん難しいところです。「報酬で当面の動機を確保したら、それを使って根強い劣等コンプレックス(学力コンプレックス)の緩和を試みる」わけです。だから、勉強ギライの子どもの場合、イーズの学習サポートでは、学力は後回しです。動機先行です。
不思議なもので、下段の動機が充実してきますと、徐々に上段の動機があらわれてくることを感じます。まず、食わず嫌いできたわけなので、「これはやってみたら面白かった」というような【充実指向】型の動機が出てきます。高尚な動機は、回避しているのにいきなり求めるより、その下の動機を固めることだと思います。
誤解のないように申し上げますが、【充実指向】【訓練指向】【実用指向】の動機が「ない」というわけではありません。回避しているので、現時点で持てていないのです。回避をせずに少し触れてみるあたりからやっていかないと、大人の理想を押し付けるだけで逆効果、ということを言いたいのです。