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ブログ『誤解だらけの不登校対応』

「安心材料」の誤解



 25年前は、ひきこもり状態だった人が外出できるようになったり、友達ができたり、進学したり、アルバイトができたりしたことを「サポートの成功」だと思っていました。しかし、今は違います。


  
 ひきこもり状態の人のサポートで難しさを感じるのは「一見そう見えない人たち」です。「明るく、社交的で、前向きな態度」を演じてしまえる人たちです。とくに演じ方が上手すぎる人は、とてもわかりにくいのです。これは親でさえもそのような傾向があります。ひきこもり型不登校の親は、以下のことを「安心材料」と受け取りやすいと思います。


 


・生活習慣を改めようとしはじめた


・外出するようになった


・電車やバスなどの公共交通機関で移動できるようになった


・友達ができた/いる


・高校やフリースクールに通い始めた


・高校やフリースクールで楽しく過ごしている


・アルバイトに慣れた


・自分から勉強するようになった


・大学/専門学校を卒業した


・就職した


 


 これらは、かつて私も安心材料だと捉えていました。しかし、そのような状態から数年後、再び精神的に落ち込み、ひきこもるようになる人をたくさん見てきました。


 考えてみますと、上記のような諸条件は、あくまで「表面上の適応」です。その人の脳内で本当に適応していることとイコールではありません。むしろ、適応するために神経をすり減らし、高ストレス状態かもしれません。


 また、実際に適応していたとしても、行動レベルが低いことや、周囲の気遣いなどによって適応できている場合、他の社会体験、とくに就職した場合に不適応が起き、脳内で高ストレス状態が続くと、退職する可能性がぐんと高まります。


 


 かつてひきこもり型不登校であった当事者が、就学就労したから、それをもってサポートが成功した、とは言えないと考えています。表面的な適応ではなく、その人の脳内が適応して、はじめて本当の適応です。

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