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ブログ『誤解だらけの不登校対応』

学校より仕事のほうが向いているかもしれない


 「学校さえ無理だったんだから、仕事なんて到底できないだろう」

 そう考えてしまう人が少なくないように思います。「就労こそ最後の大ボスだ」と。ところが、案外そうでもないのです。


 たとえば、「受け身でいいのなら、座学の授業は平気。むしろ休み時間や放課後が苦手」という人が、ひきこもり型不登校の人には多いのです。考えてみると、受け身ではあるものの、「勉強のほうは平気」という人が学校に行けないというのは皮肉なものです。


 そのような人は、フリートークが苦手な反面、「立場のある受け答え」はしやすいわけです。その場合、「中学より仕事のほうがやりやすかった」と感じるようになる人は案外多かったと思います。


 「仕事だって休み時間はあるだろう」という指摘があるかもしれませんが、人見知りの人ならば、学校の休み時間のコミュニケーションよりも、適度な距離感が維持できる多世代の職場の雑談のほうがしやすいという心理は理解できると思います。そもそも、休み時間でも何かしら仕事がらみの話をすることは多いものです。


 私たちは、これまで多くの人に「あなたは見張られてなくてもきっちり仕事をしようとする人ですか?」という質問をしてきました。すると、体感で7割の人は即答で「そうですね」と答えました。「うーん、どうだろう」と迷う人もいますしたが、「サボっちゃいますね」という人は、ほとんどいませんでした。


 そのような人たちが「自分は社会に出て仕事をするなんて、できそうもない」と落ち込んだり、諦めたりしているのは、大変残念なことです。


「学校になじめない」≠「仕事ができない」

 です。むしろ、「仕事が向いているから、学校になじめないのではないか」と思うことは珍しくありません。これはべつに、勇気づけようとか、就職させようとか、そういう意図はないのです。基本「真面目」人が多いのです。問題は「真面目すぎること」のほうです。


 どうしても、教育って、どんどん上に重ねていこうとするんですね。「足し算」なのです。でも、「過剰であるならば、引かねばならない」のです。「引き算の教育」というものが、これからの教育には取り入れられていくべきだと考えます。


 「学校はダメだったけど、大きな不安と緊張の時期を過ぎたら、仕事ができていた」ということは、全員に起きることではありませんが、「ふつうに」起きます。なぜなら、「学校がダメだと仕事もダメ」ということがないからです。むしろ、「学校がダメだったんだから仕事もダメだ」という考えが、「就労恐怖」となって、ひきこもり状態の人何割かを苦しめているのではないでしょうか。
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